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観点変更 なぜ、アトリエ インカーブは生まれたか
今中博之著

¥1,760 (税込)

アトリエ インカーブはアートに特化した知的障がい者のための通所施設。「障害者アート」のイメージを打ち破り、アート界のイチローを輩出、マスコミは常にその動静を追う。なぜアトリエ インカーブは誕生したのか、一流デザイナーだった著者が福祉の世界に飛び込んだわけ、福祉と市場の葛藤など、「観点変更」によって自らの人生と社会を変えてきた著者がその軌跡を鮮烈に語る。女優・山口智子さんも心酔する作品をカラーで紹介。

「初めて心が動くアートに出会えました。」---山口智子(女優)
「これはアートへの復讐である。」---南嶌宏(第53回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館コミッショナー)


著者 今中博之
装幀 今中博之
発行 創元社
定価 本体1,600円+税
四六判並製/304ページ(カラー16ページ)
2009年9月10日 第一刷発行
978-4-4-422-70023-6 C0070

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[ 目次 ]
はじめに
第一章「一〇〇万人に一人」の、私は何者か
原風景
無償の愛/湾曲した足/「ひきこもれ」  
流れ転じる
鏡に映せないからだ/レーモンド・ローウイとの出会い/虚勢と反抗/自らを受容する  
洞察と発見
「素志」と「思う」こと/「助けてくれ」/自己矛盾/コンプレックスを知る  

第二章「デザイン」とは何か
喜ぶ姿を見せてはいけない
屈すること、屈しないこと/橋は焼かれた/下品を知る  
モノとしての傷跡を残
育てられる/靴を舐めてでも/われ、ただ足るを知らず  
「オリジナリティ」は必要か
 杖でアクセルを押す/オリジナルを追う/二回目の引きこもり  

第三章「アカデミズム」の呪縛が解ける
二律背反がとけあう
透明な檻/切れかかった蛍光灯  
大建築家と郵便配達員とアール・ブリュット
デザインの原点に戻るために ―ル・コルビュジェ/天使の梯子 ―シュヴァルの理想宮/初めての恐怖―アール・ブリュット・コレクション  
アートとデザインは乖離すべし
アートとは/デザインの世界に戻る  

第四章 なぜ、アトリエ インカーブは生まれたか
描くことが無性に好きな人たち
それを建てれば彼が来る/「布袋」のような人たち/歪なシステム ―アトリエ万代倉庫/安全な秘密基地/福の神とイマナカデザイン/国家が背負うべきもの  
環境を整えるのみ
王としての徳を備えた人/かたのないこと/合理化してはいけない場所/「一般的なコト」と「特別なコト」/何もしない/育とうとする力  

第五章 バイアスを解く
精神科医・式場隆三郎
山下清との出会い/強制された制作意欲/二笑亭綺譚  
誤解された対話
外野の騒ぎかた/時代的な齟齬/サイコアナリシスの弊害/作品と作家の関係性  
どこの馬の骨
文化面ではなく社会面/学芸員の眼力/デザインされたグッズ/ルールの違い  
ニューヨークへ
発見者フィリス・カインド/アウトサイダー・アート・フェア/フィリスの審美眼  

第六章 現代美術の超新星たち
日本へ帰ろう
アート・パトロン/閉じながら開く/コンテンポラリー・アートの先にあるもの  
美術館でアトリエ インカーブ展を行う
呪縛からの解放/寺尾勝広/湯元光男/吉宗和宏/新木友行/武田英治  
復讐を受け止める
封じられてきた根源的な権利の奪回/二つの復讐/ネグレクトしてきたもの/「読ませる作品」と「考えさせる作品」と「感じさせる作品」  

第七章 アトリエ インカーブの展開
流れて価値がでる
ギャラリー インカーブ/1-1と1-/経済的価値と文化的価値/著作権を守る  
パーマネント・コレクション
流す価値、留める価値/四つの理由/意味を与える行為  
金平糖の先っぽ
コンテンツとシステム/感じるこころ/金平糖の先っぽ/見世物小屋なのか/「生きがい」と「就労」と「イチロー」  

第八章「インカーブのようなところ」をつくる
情に報いる
“余剰”/奪われた理論的な抗弁/報いを求めない  
これからの教育
インカーブのようなところ/人材を掘り起こすためのシステム/寺尾が教壇に立つ/「話す能力」と「聞く能力」/ギャップ・イヤー/アウトリーチの罪  
「公」が守り「民」が育てる
ダブル・アシスト/専門的就労/しあわせ特区  

第九章 社会性のある企て
観点変更とデザイン
小さな点/インカーブのポジション/空想は知識より重要である/文字らしきもの/ウィリアム・モリスの企て/客観写生  
普通なしあわせ
拍手をおくるしあわせ/コントロールできること、できないこと/普通なしあわせ
 
おわりに

[ 著者 ]
今中博之(いまなか・ひろし)
社会福祉法人素王会理事長。アトリエ インカーブ クリエイティブディレクター。イマナカデザイン一級建築士事務所代表。一級建築士。大阪成蹊大学芸術学部情報デザイン学科准教授。一九六三年京都市生まれ。偽性アコンドロプラージア(先天性両下肢障がい)。一九八六年〜二〇〇〇年、株式会社乃村工藝社デザイン部在籍。企業ショールーム、国際博覧会などのデザインにとどまらず、介護・医療施設、児童施設、障がい者施設などのディレクション活動を展開。自らの体験をとおした独自の視点で社会福祉法人の経営企画・空間設計、企業や自治体のプロジェクトに数多く参画。文部科学省・厚生労働省の懇談会においてソーシャルデザインにかかわる提案をおこなう。アトリエ インカーブでは、知的に障がいがあるアーティストの作品を日本とアメリカを拠点に発信している。
アトリエ インカーブ

著書に『かっこいい福祉』(左右社)
『社会を希望で満たす働きかた─ソーシャルデザインという仕事』(朝日新聞出版)
『観点変更─なぜ、アトリエ インカーブは生まれたか』(創元社)など。

*役職名や所属先のデータはこの書籍が刊行された当時のものです